ある日、妙なふとした事件がきっかけで宝物のありかを示した地図を手に入れた少年ジム、彼は信頼できる大人たちと一緒に宝が隠されている島へと向けて出帆します。悪名高い海賊のジョン・シルバーも宝を狙って自分の物にするために料理人になりすましとなってこの船に潜り込みます。宝物の行方は?少年ジムがとった行動とは?ワクワクするアドベンチャー・ストーリーを影絵劇でお送りします。


何枚もの大型スクリーンと嵐ス
クリーン
かかし座の「宝島」の最大の特徴はスクリーンの使い方です。3面のスクリーンを使い3枚で一つの風景を描き出して物語のスケール感を表します。また、3枚に別々の絵を映して心情や進行の内容を効果的に表しています。そしてもう一枚、我々が“嵐スクリーン”と呼ぶ巨大な帆船の帆のようなスクリーンも登場します。ここにはゆらゆらと揺れながら大海原を航行する帆船ヒスパニオラ号が躍動的に映し出されます。


スクリーン前の俳優たちと迫力のセリフまわし

影絵劇を見たいと思われる皆さんはおそらくスクリーンの中だけで物語が進むものと思っているかもしれません。劇団かかし座の作品はちょっと違います、スクリーンに描き出される影絵とその前に登場する俳優の表現が一体となってかかし座の影絵劇を作り出しています。この「宝島」にも沢山の人物が登場します、それを出演する4人の俳優陣が入れ代わり立ち代わり配役をこなしていきます。スクリーンに登場するシルエットと俳優のセリフ術によって見事にそれぞれの配役を描き出しています。また、スクリーン前に登場した俳優がそのままシルエットになることに全く違和感はありません。というよりもそれとは逆に、鑑賞している児童の皆さんの想像力を掻き立てて、心の中に様々な想いを巡らせることで、より一層奥行きのある場面を創造してくれているのです。

影絵が出来ること、想像するこ
とは創造すること
例えば、海賊たちとの戦いの場面では体全体の動きで見せますが、それと同時に手先や足先のシルエットをデフォルメして描き出し、そこに効果音が入るとハラハラ・ドキドキのシーンが出来上がります。影絵は想像が創造を生むと言います。まるであの文学作品「宝島」を読んでいるときのようにワクワクしながらかかし座の「宝島」を鑑賞してくれることでしょう。

少年ジムの成長、信頼と絆
児童の皆さんの感想文からは少年ジムと海賊ジョン・シルバーの二人が物語が進むにつれて信じあい絆が生まれていったところ、それから勇敢だけど無茶をする少年ジムが少しずつ成長していく姿を感じられて良かったです、といった声が寄せられています。きっと児童の皆さんは主人公の少年ジムに自分自身を投影して鑑賞してくれているのでしょう。