「宝島」は劇団かかし座創立60周年(2012年)を記念して制作された作品です。
多くの人が魅了され、その物語の世界に心躍らせながら入り込んだR・L・スティーブンソン作の冒険小説「宝島」が劇団かかし座の影絵劇となって登場しました。

オープニングではプロセニアムいっぱいに映し出される光景が、荘厳な音楽と相まってこれから始まる物語への高揚感をふつふつと湧きあがらせます。
物語が始まると、舞台上の3面のスクリーンによってさまざまな情景が映し出されていきます。ある時は部屋の一室、またある時は3面を合わせて広大な景色となり、別のシーンでは一枚のスクリーンは全体を表し、同時に別のスクリーンでは拡大された瞬間が描かれるといったように使われます。また、揺れ動く大きなスクリーンも登場して帆を張った帆船の航行の様子を斬新に描き出しています。劇団かかし座の繊細で美しい影絵がステージいっぱいに描き出されると「宝島」への興味と冒険心が大きく広がっていきます。

登場する役者はそれぞれの衣装をまとい、3面のスクリーンの前で演じます。合わせてスクリーンの中にボディー・シルエットで登場することもあれば影絵人形として現れることもあります。観客にとっては生身の役者とシルエットの役者や人形が効果的に登場することによって、情景や感情をより深くイメージさせることができます。
もちろんセリフや歌は生で行っています。劇団かかし座の俳優陣は歌や身体表現や影絵表現のための鍛錬を常に実践しています。この「宝島」を影絵劇で上演するためにはセリフがしっかりと話せること、舞台上の所作がきちんとできること、またその上にシルエットでの表現も併せてできることが求められます。俳優による演技や語り、そこに影絵が融合されることによってこの冒険小説「宝島」をより一層魅力的なものにしています。

対象は小学校高学年からとしていますが、影絵の描き方の魅力を感じていただけますので小学校全学年からご家族皆さんでご覧いただくことができる作品です。

【文責:閨幹男】