世界中の子どもたちに大人気のお話「赤ずきん」は、元々フランスの昔話だったようです。それをペローやグリムが再構成し童話にしたものが、いま私たちが絵本などで知っている「赤ずきん」です。
劇団かかし座ポケット劇場シリーズの一つ『赤ずきん』は、文字通りその「赤ずきん」のお話を影絵劇で演じます。幼稚園や保育園、こども園、また児童館や学童クラブ、子ども会、図書館などを中心にに、小さな会場で上演している作品です。

●かかし座影絵劇『赤ずきん』の魅力
「赤ずきん」のお話を人形劇やマスクプレイで上演している劇団は、プロアマ問わず無数にあります。しかし影絵劇で上演している劇団はかかし座を含めごく僅かのようで、実際影絵劇で観られた方はとても少ないのではないでしょうか。かかし座の『赤ずきん』は、人形劇で観るのとは一味も二味も異なる魅力に満ちています。
まず何と言っても、影絵劇の最大の特徴である美しい場面の数々。赤ずきんちゃんは森を抜け、お花畑を通り、池のほとりのおばあさんの家に向かいますが、それぞれの道行が美しい。また赤ずきんちゃん役は、女優が衣装を着け舞台俳優として演じ、スクリーン裏に入れば自身のシルエットで演じます。同じくオオカミ役も、男優がお面をかぶりシルエットで演じます。俳優たちが等身大で演じるわけですから、登場人物も大きくて見やすい。そしてこの作品は歌物語と言えるくらい、たくさんの歌が出てきます。
小さいけれどたくさんの魅力が詰まった影絵劇、それがかかし座の『赤ずきん』です。

●言わずもがなの粗筋(余談込み)
お母さんに頼まれた赤ずきんちゃんは、お菓子とブドウ酒を持っておばあさんのお見舞いに向かいます。そのことを知ったオオカミは、先回りしおばあさんを一呑みすると、おばあさんに変装し赤ずきんを待ち受けます。そうとは知らず赤ずきんちゃんは、(以下予想通りの展開)
赤ずきん「おばあさまのお耳、ずいぶん大きくなったのね」
オオカミ「それはね、お前の言うことをよく聞こえるようにだよ」
赤ずきん「おばあさまの目、なんて大きいお目めでしょう」
オオカミ「それはね、お前のかわいいお顔をよく見えるようにだよ」
赤ずきん「おばあさまのお手て、ずいぶん黒くて大きいわ」
オオカミ「それはね、お前をしっかり捕まえておくためだよ」
赤ずきん「だけどおばあさまのお口の大きいこと、私びっくりしちゃったわ」
オオカミ「そればね(フフフ)、お前を今食べるためさー!」
赤ずきん「キャー!」
オオカミ「ガブリ!」
2人も丸呑みしたオオカミはお腹いっぱい。大いびきをかいて寝てしましました。
(余談ですが、香川名物「骨付鳥」は、しっかりした肉質で旨味のある親鳥と、柔らかくてジューシーな若鳥の2種類あるのが魅力。「2つは多いかも」と思いつつもどちらの味も食べたくて両方注文してしまう私には、おばあさんと赤ずきんちゃんの両方食べてしまったオオカミの気持ちがわからなくもないのです。加えて赤ずきんちゃん持参のフランス産ブドウ酒も飲んだとあれば、それはもうお腹も気持ちも満たされたことでしょう。)
そこへ通りかかった猟師のおじさん。オオカミのお腹を裂いて、赤ずきんちゃんとおばあさんを助け出します。そして裂いたオオカミのお腹に大きな石を詰めると、ものの見事に縫合し…

 さあ皆さん、どうです? かかし座の「赤ずきん」を観たくなりましたでしょうか(笑)。お問い合わせ、お待ちしております。

[文責:山下義文]