影絵劇に取り組んでくれた劇団みくと倉吉の皆さんへ
(劇団みく「羽衣伝説」当日配付パンフレット 2001年9月9日)

影絵劇に取り組んでくれた劇団みくと倉吉の皆さんへ

まず、今回の影絵劇による市民演劇の取り組みを企画し、支えてくださった倉吉JCの皆さん、そして様々な支援をしてくださった倉吉の皆さんに心から感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
最近、市民参加の演劇が全国の各地で行われるようになっています。このこと自体は大変良いことです。しかし各地の市民演劇の取り組みに人形劇や影絵劇といったいわゆる 「もの」や「道具」を使った演劇が大変少ないのです。これには大きく二つの理由があります。 一つには人形劇や影絵劇に対する偏見です。人形劇や影絵劇が子ども向けのつまらないもの」であるという漠としたイメージは実はとてもたくさんの人々が特別意識をしないで持っています。もう一つには人形劇や影絵劇が技術的にとても難しいということです。もちろん一般的な舞台劇においても演技をするのは大変難しいことではあります。しかし人形劇、影絵劇の場合はそうした演技的な基礎を学んで、なおかつ人形や影絵の操作をしなくてはなりません。ここのところで、しなければならない作業が大変多くなってしまいます。演技の勉強、影絵のデザイン、人形の製作、機材の準備、などなど大変な仕事量です。故に、実際にはなかなか大規模な人形劇作品や影絵劇作品をアマチュアの仕事として作ることが難しいのです。
今回の「劇団みく」の取り組みは、題材が「天女」という事情もあって、影絵劇によるチャレンジが決まったようですが、 私はぜひこの取り組みが将来に繋がっていくことを願っています。通常の演劇よりも多角的な参加が可能で、ある意味で システマティックな組織を必要とする影絵劇は、いわゆる「市民演劇」のブームに新たな視点と可能性を加えることが可能だと思うからです。単なるイベントでなく、劇団の旗揚げとしての本日の舞台が、技術的にはまだまだ不十分であっても、未来に向かっての気概にあふれたものであることを私は期待しています。街の発展というものは、そこの街に住み、そこの街をかけがえの無いものと感じている人々によってしか成し遂げられるものではありません。今後も「劇団みく」の存続、発展には幾多の困難が待ち受けていると思われます。しかし、やさしい事など本気で当たるには足りません。困難であれ ばあるほど闘志を燃やす人々によって「劇団みく」が支えられ、街の発展の一助となることを、私は確信しています。