「バンコク交友記」
劇団かかし座 うえだよね
2004.9.14


 生まれて二度目の海外がタイに出張だとは思いませんでした。ユネスコ関係のシンポジウム。いろんな国の人形劇が集まるので、そこに行って人形劇を観たり、影絵を観せたりするのだということでした。事前にかかし座らしい手影絵と日本らしい影絵の短いショーを作って出発しました。
出発日。朝六時半に家を出て成田九時着、十一時初のバンコク行きに乗り、着いた先は二時間戻ってて夕方四時ごろ。まったくもって日本語がない;;しかもむっしいいあっつうううううう。なれずに片言にもなってないままパトラワディ劇場へ。夕食から合流し、パトラワディレストランでチャオプラヤ川を見ながら食事。タイ料理は日本とそれほど遠くないので食べやすい^^ラオス、ミャンマー、ベトナム、韓国の人形劇を観て、ボートでホテルへ。ホテル相当ゴージャスこれで3000円ほど!?同室はカザフスタンの女性。顔は日本人とほぼ一緒。韓国より中国より日本人。向こうもわたしがあんましゃべれないのを理解しつつ就寝。
 行って早々見た人形劇は、韓国だけ妙に宗教色ってか国民色というか、まぁ個人的にはやめてほしかったです。すごく重かった。どこの国も言葉わかんないからわかんないけどどうもラオスだけお笑いの間とか突っ込みとかが日本と同じような気がした。ミャンマーは糸操りのパペットが踊るんのが相当職人技でした。人形もとっても美しかった!

 結構暇なんですよバンコク・・・って聞いてたからノートPCにデータぶっこんで外付けHDももってってプラグも万全、ばっちり仕事ができる♪・・・って、おいおい朝の出発は八時二十分なんですか(泣)会場までボートで川を進みます。向こうの通勤ラッシュはボートに起こります。ま、ボートがバスだな。満員ボート、落ちたら確実に溺れますな^^;
 朝はひたすら英語のシンポジウム・・・まー二割くらいしかわかんないけど、耳の穴かっぽじって聞くべし。二割って言っても時々分かる単語が混じってるくらいなもんで、考えてる間に次行っちゃうから流すべし!

 そうして、ワークショップを経て四日目の夜にコラボレーションするわけです。ぼくのグループはタスマニアのアニーを中心に、日本、カンボジア、韓国のコラボ。影絵が日本とカンボジアだけなんでね。それにしても、もってったものでやるからって神輿が少女を誘拐、ラーマ王が救出って、そんなストーリーありですか。ま、変更するかもしれないがってことで。

 昼からはタイの文楽みたいな人形劇をやっているジョールイスシアターに移動。3人で一体のパペットを操作。文楽ほど細かくないけど人形の作りがとても美しい。最初稽古を見学したとき、舞踏やアクロバチックなことをやってるから何かと思ったら、人形の動きのための稽古なのね。人形の動きを操作する人たちが実際にやって覚えてから人形操作に行くんですね。ここの若者たちは文楽に行って勉強したいんだそうです。

 この劇場の周りはナイトバザールになってまして、休憩時間が数時間もあったので近くを歩き回ったり飲んだりマッサージ行ったり。マッサージはわたしの凝りまくった体にはたいして効くものでもなかった・・・残念ながら。

社長が飲み物購入に行って下さってる間にカンボジア組が隣にいたので話しかけてみました。結局合流して話してたんですが、一人がおじいさんで、二次大戦のことなどいろいろ話してくれたんだけど、いわゆるかなりのカンボジアなまり?もしくは自己流。難解な英語で半分もわかんないんですが、お世話して下さった鈴木さんいわく、英語わかっててもわかんないって(汗)
でもカンボジアの人には日本はとても印象がいいようですね。それだけがなんとなくわかりました。
 夜はジョールイスシアターで昼間稽古を見た人形劇の公演を観て、言葉もわかんないのもあるし、横の英語の字幕読んでてもうーんいまいち完成されてないっていうか、睡魔が襲う。そのお国の神話ってのは外国人にはやっぱりわかりにくいものかな。
 その後は自由解散で、街中やハッポン通りとかにいっちゃうわけです。食事は普通の店で、パイナップル入りチャーハン。これが相当おいしかった!その次につれてってくれたところはゴーゴーパブだかなんだかすごい轟音の中、カウンターで飲んでる目の前の踊り場で白いビキニのおねーちゃんが大量に踊ってて、その中から好きな子を選んで一緒に飲んでいいところ、というのにつれてってもらったわけです。お姉さんたち、メンバーが途中で交代するんですが、どうも黒いブーツを履いてるのは女の子、ミュールなのが元男の子のようでした。まー基本的に元男の子のほうが美人です。座って飲んでると店員も含めてコーラをせがんでくるわけです。そのコーラ一杯からマージンが入るシステムらしく、勝手に肩をもんできてはコーラをせびりにやってきます。鈴木さんのように自分の気に入ったきれいなおねーちゃんを指名してコーラをおごってしゃべれるようになりたいもんですな〜。日本人女性がはまって通っては話をしにくるそうです。彼女たちは苦労してるので非常に人間が出来ていて、語り合うと楽しいそうです。それからタクシー(初乗り日本円でいえば100円くらい)でホテルへ。同室の子がすっかり眠ってたんですね、鍵持って。あちゃ〜。隣室の彼女と同じ国の男性、ジヌールもがんばってくれて、ホテルの人もマスターキーで開けてくれたんですが、内鍵がかかってたんですなああ(泣)ジヌールは隙間から一生懸命彼女を呼んでくれました。そうしてやっと起こすことが出来ましたがああ、悪いことをした。こんな感じで二日目はお風呂に入ることもできず眠ってしまったわけですw
 毎日一日中異国で外出っぱなしはさすがに疲れた。三日目、午前中は爆睡。同室の彼女に朝一回起きて説明・・・寝ぼけ英語。と言ってもホテルだからね、九時半には食事をとって11前にはホテルを出ました。ぜんぜん遅くねえ・・・(ToT)
着いたら午前中はシンポジウムが続いていて、午後から昨日のワークショップから夜の本番に向けて舞台のセッティング。
ほかの人形関係は舞台セットがほとんどいりませんが、ぼくらカンボジア日本韓国は影絵が入りますので、音も含めて全部マックでとりこみ。文明の勝利ですわ!もう三日目にもなると結構かたこととは言えがんがんしゃべってまして舞台のスタッフにも質問が出来てました。休憩時間もすれ違う人に一言でも話しかけてみたりして積極的に慣れたのが良かった♪

夜はかかし座としての本番とコラボ本番があって、連続。パトラワディシアターは屋根もすべてありますが、オープンエアシアターなんですよ。つまり、屋根も囲いもあるけど屋外。もうあっついのなんの。準備の間も汗かきまくり、本番は汗だく。違う国の影絵を同時に同じ舞台にのせるというのは面白い趣向ですね。わたしたちは演じるのに映ってる影を観るんです。それにスクリーンと人形と光源の間にそれぞれ距離があります。カンボジアの影絵はスクリーンに人形をぴったりつけて演じるので演じるときにも見ているのは人形です。コラボをして人形同士が絡んだときに、映ったもので絡ませようとするわたしたちと人形を寄せてくる彼らの違いがとても興味深いものでした。他に印象的だったのはインドの人形。手使いの紙芝居を観ているような人形劇はとても魅力的だったし、糸操りの人形は操っている人の技術がすごかった。本当にこれは有意義ってゆうか楽しかった。旦那ほっぽらかして来て良かった!最後にみんなでならんで花もらったりして、スタッフの人たちも本当お疲れ様でした。一般のお客さんもたくさん入ってて大盛況でしたしね。
 ああ、そうそう暑いついでに、バンコクの扇風機。屋外にたくさんでかい扇風機がありまして、風と同時に霧が出てます。タダでさえ蒸し暑く、風だけ送ると熱風が吹いちゃうので霧を同時に吹くのだそうです。日本の水を打つのと同じ効果ですかね。
 公演すべて終了して、荷物を持って、ちょっと休憩。一日何回ビール飲むんだろ(笑)本番前にもほかの人は飲んでたな。ね〜社長。わたしにはちょっとできなかったけど。んでボートで帰ってホテルがやっぱ11時くらい。風呂入って、寝床で音楽聴いたり本読んだりしてたら寝ていたカザフの彼女ナズグルが寝れないからタバコすってくるーとベランダに出て行きました。うちは旦那もヘビースモーカーだから部屋で吸って大丈夫よーって会話をかわして。しばらくしてもどってくるともーしゃべりまくり。むこうは通訳で来てるとあってぺらぺらなので、わたしがかたことでもなんとか理解してもらえて、二時間くらい、夜中一時すぎまで二人でしゃべりまくり〜♪カザフが、ソ連からロシアになったときにどう変わったか、彼女が日本に来たときのこと、お互いの家族のこと、それぞれの文化。顔は同じ民族でも、文化はまったく違いますね。ああ、そうそう、カザフは(カザフも?)女性がとっても強くなってきてるそうです。なんてことで夜中夜中で眠くなって眠りました。
四日目。朝からずーーーーっとユネスコの無形文化財のシンポジウム。聞いてるのは集中力総動員したってせいぜい三割くらいしかわからん。で、前日のコラボの組み合わせで討論。それも実際にしゃべるのは鈴木さんだし、わたしはとりあえずずうううっと集中して言葉を聴いてたので異常に疲れました。そこでわかったのはわたしたちの影絵はとてもモダンなものだということ。

そう言えば来ているものは伝統芸能であろうものがほとんど。カンボジアの影絵にしても、人形そのものが80年使っているとか、その歴史に圧倒される。技術の保存も歴史の保存も非常にデリケートなものだと思いました。それからまとめがあって、いったんホテルに戻って・・ってことはボートは最後ね。ボートでは、わたしと同室のナズグルがコミュニケーションをとれるので、男陣は、社長の同室のジヌールがナズグルに話しナズグルがわたしに話しわたしが社長に説明するというすっごいめんどくさい方法で会話していました。
 夜はまあさよならご飯会みたいなことがあるので場所移動。この移動が長いのなんのって、観光バスみたいので高速のったり下道走ったり。やっとついたのは一時間以上移動してからのこと。写真取りまくりの皆さんにまぎれてご飯食べたり飲んだりしゃべったり。今回の会の修了書みたいなのを一人一人頂いて、なんか凄いことしたみたいだ!コラボで一緒だった人くらいしか交流がなかったんですが、この際ってことでラオスの人とかミャンマーの人とかすれ違いに話しかけてみたり。
日本から手影絵を教わりたかった人はたくさんいて、片言英語でがんばって教えてたら、おいおいラオスの一人の青年は日本語しゃべってるじゃあああん。自分で勉強したそうで、日本にも公演で来てるとのこと。もっと早く気づくんだったなーーー。そんな風に楽しいうちに終了、帰りは同室彼女は街へ繰り出していませんでしたが。帰ったら風呂入って寝るだけですよ、もうくたくた。

 ついに最終日、タイの通訳の人をお願いしていて、ホテルで合流して、出かけました。どこに行くにも地上はタクシーなんですがすごい車の数で、渋滞なんて当たり前。そしてまずアシテジの事務局にご挨拶。英語とタイ語の入り交じる会話に唖然(笑)通訳の人の日本語が難解でむしろ英語だけ聞いてる方が分かるかも。子供たちのために様々な活動をしている方々でしたが、危険な地域に出向いたりして、あまりの文化の差を感じました。日本は本当に平和です。
 そのあとついに観光やらなんやら。エメラルド宮殿がいいんだと、いろんな人に教わっていたのでまずそこ!そこは宮殿なんで、王様がいらっしゃるんで、失礼があってはいけない。観光客と言えど足首を見せてはいけなかったり、入場に際して規則があるんです。ハーフパンツを履いていたわたしは、入り口で巻きスカートを借りて中へ。壁も柱も屋根も、金や色とりどりの石やガラス、鏡がはめてあって、きらびやか!中にエメラルドで出来た仏像(想像以上に小さい)があって、壁に一面、仏画。さすが仏教の国です。奈良に生まれ育って、お寺や神社が大好きなわたしには最高の場所でした。出口でちょっとした足止めをくらったんですが、話によると、王様の影武者が通っているとかなんとか。



次にワットポーに行きました。トゥクトゥクという、三輪車とか原チャリから作ったような、バイクと車の間くらいのタクシーに乗って移動。狭くてすごい揺れだけどおもしろい。ワットポーはタイ式マッサージの総本山だそうですが、巨大な横になった仏様がいらっしゃって、長い!それにしても見るとこ見るとこにお寺。わたしの地元も見るとこ見るとこにお寺ですが、日本のお寺は清閑で質素。タイのお寺はすごく派手。目に鮮やか。
 その後お土産を買うことにしましたが、これが大変。通訳の人にどんなものが買いたいか伝わらないんです(泣)宝石とかすごい高いもの売ってるビルに連れてかれたりしたんだけど、劇団のみんなにちょこちょこといっぱい買いたかったので、ここじゃなーいと移動。結局日本でいう、新宿みたいなところに連れてかれました。あーこないだ行ったナイトバザールで買っておけば良かったなーなんて思いながら、ついに通訳さんと社長と分かれて、一人で買い物しちゃいました。中に入ると一面店店店。天井も低くて、ひしめきあってて道がわからない。一番たくさん売ってたものは、携帯電話!なんでこんな一面携帯電話屋なの〜ってくらい売ってます。なんとか雑貨屋とか洋服屋とか見つけてお買い物。タイの人は普通に英語しゃべれません。日本人と一緒です。単語で聞いて単語で返す感じで道を聞いて待ち合わせ場所に戻れましたが。早めに着いたら、通訳の人が社長とはぐれたと言って待ってました。だめだめです(笑)待ってる間に、お話をしていて、タイには元男の人も多いが元女の人も多いんだと聞きました。雑踏を目の前にして、あの人は本当は男、あの人は本当は女と解説してくれます。それが本当だとすると男女が入れ替わってもおかしくないくらい、むしろ性別が四つある感じでした。そうして社長も無事合流。両手に山のようにお土産を持っていらっしゃいました。
 それから一旦ホテルに戻ったんです。なぜなら、主催者側にいたアニーというタスマニアの女性が、同じくらい夜遅くの飛行機だったので一緒に空港に行こうと言ってくれて、夜まで部屋を借りてるから観光後に休んでもいいよと、荷物も預かってくれていたのです。まだ時間もあったので本当に助かりました。それから一緒にタクシーで空港に向かいました。改めて見るとタイは昔々の日本に似ている。長屋とか商店街とか何かと似ている。そして、コンビニも看板も日本の物がたくさんある。食べ物もとても日本人に似ている。結構なじみやすい国だなと思いました。
 わたしにとってはここからが地獄で、疲れた体に飛行機がつらくて(泣)足はパンパンで痛いし、三人がけの真ん中だったから動けないし、眠れないし、疲れが一気に出ました。そこでこの旅の感想がこれになっちゃったんです。エコノミーには二度と乗りたくな〜〜〜〜い。贅沢な・・・(笑)