【 アラジンと僕】
「アラジンと魔法のランプ」班 澤谷未来

かかし座で「アラジンと魔法のランプ」を上演するまで、僕にとってアラジンはずっと、憧れのヒーローでした。貧しいアラジンが危機を乗り越え魔法のランプを手に入れて、莫大な富と美しい姫を手に入れる。悪者にランプを奪われてからも、知恵と勇気で取り戻し、めでたくハッピーエンド!…が、アラジンを演じる上で本を読んでいくと、僕の考えるような『ヒーロー』ではなかったのです。まず、たいていの男性がそうであるように、マザコンです。母に甘え、母に叱られ、無理な頼みも平気でします。ランプが手に入ると、今度は何でも魔神に頼みます。多少困難な願い事も、いやな顔一つせず聞いてくれるので大喜びです。身に危険が迫った時は、偶然ですがいつも指輪の魔神が助けてくれます。悪者をやっつけよう!と考えますが、それを実行するのは姫だったりします。アラジンはランプをこすること以外ほとんど何もやっていません、僕から言わせれば、どこにでもいるようなごくフツーの人間です。しかしそのフツーの人間が、突飛な状況に置かれ、その状況に戸惑いながらもひたむきに生きていく姿に僕は共感しました。今の僕にとってアラジンをアラジンたらしめているのはそこです。ヒーローじゃなくったっていい、これからも自分らしく演じていきたいと思います。