最新ニュース2009


 

「手影絵でのドイツ公演」

 

下記の文章は、日本ウニマ発行「人形劇のひろば」101号に掲載されたものです。

『手影絵だけの構成で行く!』
今年7月下旬、最初のミーティングで、かかし座後藤代表が熱っぽく語り始めた。折しも、『24時間テレビ』の稽古や『関西電力』のCM収録に向けてひたすら手影絵の実演が続いていた時期である。
これは手影絵を根本から探る絶好のチャンスでもあった。かかし座が実演する公演作品内での手影絵は、いわゆるアペタイザー的な要素が強く、メインディッシュになることはなかったから、もちろん初めての試みである。
数分にまとめた小品を並べた手影絵ショーは上演していたが、それでも15分程度。今回、私たちに与えられた上演時間はなんと1時間。
8、9月に既存の作品公演をこなしながら、合間にミーティングを重ね、出演者も様々なアイデアを捻出、実験し、10月上旬の出発ギリギリについに完成。

そして、ドイツへ。
機内預け荷物のスクリーンが紛失したという大事件もあったが、なんとか初回のワークショップは無事に終え、そして、本番を迎えた。
私達の舞台は、パフォーマンス部門のオープニングを飾ることになっていた。

今回、私達には一抹の不安があった。言葉の壁もあるけれど、それよりも、民族も文化も違う欧州の人々に、この作品を果たして楽しんでもらえるか、という部分である。
でも、それは杞憂であった。
開演直後から、感嘆の声と大きな拍手で迎えられた。上演中もそれは止まない。お客様の関心の高さを感じるのと同時に、私達が求めていたことが確かであったと実感する瞬間だった。
会場は3回とも満員近く、特に3回目は、入れない予定だった2階席も解放してしまう客入り状態。充実した上演だったことは言うまでもない。
2回目のワークショップもなんとか終了。全ステージ、無事に終えることが出来た。
オランダとハノーヴァー市のフェスティバル・プロデューサーの方々からも、『是非うちでもやってくれ』と言われ、次回の海外公演の布石を得た。

出演者、スタッフ一同、打ち上げにはドイツビールで夜明け近くまで語り合った。その席で、珍しく代表が胸の内を明かしてくれた。
『初日、オープニングが終わった後の怒濤の拍手を聞いて、さすがに俺も目が潤んだよ』
その言葉を聞いて、私達もまた舞台への思いを新たに得たのだった。

手影絵の魅力、深さがまたひとつ増し、それがまた影絵劇という舞台芸術の豊かな一面を引き出せたのだと思うと、今回のドイツでの上演はまさにかかし座としての、影絵劇としての大きな一歩だと言いたい。

上演部 飯田周一